青森県の津軽平野南部に位置する田舎館村は、農業が盛んな小さな村。
見渡す限りの水田が広がる田舎館村は米づくりの村でもあります。
そんな人口8,100人あまりの小さな村が今は日本国内に留まらず、世界へと知られるようになりました。
平成5年から始まった、田植えから稲刈りまで全て手作業で行う稲作文化を伝えるイベント「稲作体験ツアー」。
2種類の古代米と「つがるロマン」の3種類の色彩が異なる3種類の稲を使って水田に絵や文字を描いたことが
「田んぼアート」の始まりです。
毎年違うテーマで描かれるアート。2014年は「富士山と羽衣伝説」。
世界遺産に登録された富士山と三保の松原に伝わる羽衣伝説を描いています。
田んぼアートは、農業のおもしろさを知ってもらうきっかけになればと稲で文字や絵が描かれました。
その後年月を経るごとにアートは進化を続け、植えた稲で描いているとは思えないほどの完成度となりました。
最初は平面に図柄を描くだけであった田んぼアートに遠近法を取り入れ、
展望台から見た時に美しく見えるように図柄の設計を行いました。
アートが描かれている水田の中にはあぜ道があります。
写真はアートの中に立って撮影したものです。
あぜ道の中から図柄を見てもまったくわかりません。
これが、あの田舎館村役場の展望台から見ると絵となって見えるわけです。
こんなにも繊細なアートはすべて手作業。図柄の部分は農協女性部や農家の方達が植えています。
天女の額部分にもあぜ道が通っていますが、天女の顔周り部分はアートが途切れないようにあぜ道は埋めてあります。
こうした細かい部分が更にアートを美しく見せることに繋がっています。
稲の種類も年々増え、アートの緻密さも増しています。
平成26年の第1田んぼアートで使用されている稲の種類は10種類7色です。
各稲の場所にはプラカードが立てられていて実際に使用されている稲と品種がわかるようになっています。
平成24年からは第2田んぼアート会場もでき、2か所の会場で田んぼアートを行うようになりました。
サザエさん
第2アートは横幅約150メートルと広く、高さ17メートルの展望台からの撮影でも、アートがカメラに収まりません。
今や世界へ知られることとなった田舎館村の田んぼアート。
日本だけに留まらず様々なところから注目を集めています。
2013年に芸術の国フランスで欧州連合(EU)の文化芸術イベントの一環として
田んぼアート制作を行うこととなり、2012年には担当者が田舎館村を訪れたほどその技術は評価されています。
アプリの題材としても選ばれ、世界中から注目を集めています。
広告会社の博報堂は、風景を写真に撮るとその商品が買えるアプリの第一弾の題材としてその美しさから、
田舎館村の田んぼアートを選びました。
田んぼアートを読み取ると地元産米の販売サイトにつながるスマートフォンの無料アプリ
「Rice Code」(ネイチャー・バーコード)は、2014年3月「第17回アジア太平洋広告祭」で7つの賞を受賞しました。
6月には、世界最高峰の広告祭「カンヌライオンズ国際クリエイティビティ・フェスティバル」でも
2部門の金賞を獲得しています。
アプリ使用の様子
アプリを起動して田舎館村の田んぼアートを撮影すると、販売サイトにつながります。
実際に展望台から撮影するのはもちろんですが、ポスターなどからでも
田舎館村の「つがるロマン」がすぐ購入できてしまいます。
首都圏などに貼られているポスターからでも、田んぼアートを行っている村のお米をアプリから買うことができます。
「つがるロマン」は田んぼアートで主に背景部分に使用されている品種のお米、青森県で広く作られているお米です。
田んぼアートを楽しみながらも、食について改めて考えるきっかけとなっています。
全国各地で田んぼアートが盛んに行われるようになり、いつしか「田んぼアート発祥の地」と言われるようになった田舎館村。
そんな田舎館村の田んぼアートは3キロほど離れた2箇所の会場で見ることができます。
第1田んぼアートは田舎館村役場。
お城の形が目印の田舎館村役場の6階天守閣にある展望台から見ることができます。
第2田んぼアートは、道の駅いなかだて弥生の里展望所から見られます。
両展望台の会館時間は午前9:00~午後5:00まで。
料金は大人(中学生以上)200円、小学生100円、小学生未満無料です。
見ごろは8月ですが、それ以外も稲の成長過程で違った表情を楽しめます。
平成25年には第2田んぼアート近くに「田んぼアート駅」が出来、冬期間を除く4月~11月の期間、電車が停車します。
二つのアート会場は無料シャトルワゴン「たさあべ号」が運行されているので、車で訪れる方以外も利用しやすくなりました。
日本が世界へ誇る田んぼアートでは、もうすぐ「稲刈り体験ツアー」が開催されます。
田んぼアートで行われる手作業の稲刈りへは誰でも参加することができます。
開催 平成26年9月28日(日) 小雨決行
時間 8:30~ 中央公民館正面玄関前受付
9:30~ 開会式
場所 田舎館村役場東側水田
申込締切 9月19日(金)
参加費 無料(おにぎり、豚汁付)
準備するもの 稲刈り鎌、汗拭きタオル、稲刈りの出来る服装
申込・問い合わせ
田舎館村役場企画観光課
0172-58-2111(内線242)
稲刈り体験ツアーでは、アート部分を残して刈り取るので稲刈り後も10月13日(祝)までは田んぼアートが楽しめます。
体験ツアー当日は、田舎館村展望台へは入館出来ませんのでご注意を。
普段食べているお米を自分の手で刈り取った後に頂く、おにぎりと豚汁は最高に美味しいことでしょう。
9月末には天皇皇后両陛下も訪れることとなった今年の田んぼアート。
田んぼアートを見たことがない方、今年のアートをまだ見ていない方も豊かに実ったアートを観覧しに出かけましょう。
定休日: